総務省は、都市部の住民が過疎地などに移り住み、農業や住民の生活支援などに従事
する「地域おこし協力隊」の起業に掛かる経費を特別交付税による財政支援の対象に加
える方針を決め、3日付で都道府県に通知した。財政支援の対象となる協力隊員の地域
要件も一部緩和した。いずれも、今年度の特別交付税措置の算定から適用する。
協力隊員は最長3年間の任期を終えた後も派遣先に住み続けるケースが少なくないこ
とから、総務省は、協力隊員の起業を後押しすることで、その地域の活性化や定住人口
の増加につなげる考えだ。
現行では、協力隊員の受け入れ自治体に、報酬や活動費として1人当たり最大400
万円を上限に特別交付税が手当てされているが、今年度分から起業に要する経費として
1人当たり100万円を上限に上乗せする。
具体的には、備品購入や法人登記、マーケティングなどの経費を想定。財政支援の対
象となるのは、任期が最終年次の協力隊員か、任期終了翌年の元協力隊員となる。支援
は1年限りとする。
さらに、協力隊員の地域要件も一部見直す。協力隊員は、三大都市圏をはじめとした
都市部からの転出が原則だが、住んでいた場所が県庁所在市などでも、離島や山村とい
った条件不利地域が一部に含まれる場合は財政支援の対象とはならなかった。
このため同省は、こうした地域を「一部条件不利地域」と位置付け、新たに特別交付
税措置の対象とするよう要件を緩和した。長崎市や大分市などが該当するという。
協力隊は総務省が09年度に創設。13年度に活動した隊員は318自治体で978
人。安倍晋三首相は、地方の人口減少に歯止めをかけるため、協力隊員を3年間で
3000人に増やすと表明している。(了)
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